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行事のなかに四季を感ずる

2018.07.09 17:02

それぞれの家庭では、年の初めに新年を祝い、お屠蘇をいただきます。3月になるとひな祭りで子供の成長をお祝いします。4月には桜を観て楽しみ、9月には月を眺めて楽しみます。そして年の終わりには1年間無事に過ごせたことに感謝し、お蕎麦を食べて年を越します。

 

当院では、それぞれの家庭で行われている季節の催しが、院内の行事にいくつか取り入れられています。行事に参加することで四季を感じることができます。年齢を重ねた私には、心を和ませ、ほっとした気持ちにさせてくれます。若い世代の人たちは、家庭では味わうことが少なくなってきた日本古来の文化に触れることができるのです。当院の行事のなかから、四季を感じさせ、“ゆとり”と“彩り”を醸し出してくれる催しものについて紹介したいと思います。

 

1月4日から通常業務が開始されます。この日は「仕事初め式」が行われます。理事長が新年の挨拶を述べられ、本部長お手製の縁起物であるお屠蘇と数の子と黒豆が振る舞われます。職員は今年も1年が始まったのだと気持ちを新たにし、業務を開始します。

   

1月11日を過ぎると「鏡開き」があり、ぜんざいが振る舞われます。正月に供えられた餅が沢山はいっており、昼食後のデザートとして美味しく味わっています。ぜんざいは栄養科の管理栄養士がつくっておりとても上品な味に仕上がっています。

 

3月の桃の節句の頃になると「春の点て出し」が催されます。昼食を済ませた後に、別室でお茶の作法を習得した茶道部職員から、一人ずつ抹茶が振る舞われます。私たちは一服の抹茶と和菓子で春の気配を感じながら、心安らぐひと時を過ごすのです。お茶の作法は入職時に礼儀作法の一環として研修に含まれています。作法を忘れた人には茶道のお師匠さまが丁寧に教えてくださいます。

 

4月には当院の別荘、霧島山荘で「新人研修会」が開催されます。庭には桜の木が植えられており、丁度花見の時期と重なっているため桜を見ながらの研修となります。研修会はこの施設で1泊2日の日程で開催されます。霧島神宮での参拝から始まり、各部署の責任者による講義が行われ、夜はバーベキューで夜桜を見ながら盛り上がります。掛け流しの温泉もあり、ゆったりとした気分で霧島の温泉も味わうことができます。新しく入職された人たちには、職員の方々や新人同士の顔を覚えるよい機会となっています。

 

 7月には5節句の一つである「七夕」があります。この時期には病棟に笹竹が用意され、患者さまは短冊に思い思いの願い事を書いてつるします。願い事を書くことのできない人には、看護師が患者さまから願い事をお聞きして短冊に書きこみます。織姫と彦星が七夕の日に再開できたように、短冊に書かれた願い事は叶うとの言い伝えがあり、いろいろな願い事が書かれています。

 

9月といえば十五夜、この頃には2回目の「秋の点て出し」が行われます。供えられたススキとお団子を観ながらお茶をたしなみます。忙しい業務の合間にほっとした時間がおとずれます。昼食の時間帯に行われるため、仲秋の名月を眺めながらではないのが少し残念です。

 

12月29日には「仕事納め式」が催されます。透析部門、入院部門を除き通常の業務が終了する日となっています。この日は理事長、院長が、1年間の成果を発表され、共に働いてきた職員の労をねぎらい、新年に向けての期待をこめて挨拶されます。そして職員の人たちと一緒に昼食をとられます。食事だけでなくお菓子や果物も振舞われます。アルコールは出てきません。この式に出席すると、今年も1年が無事に終わろうとしているのだと感じるのです。

 

 当院に勤務するようになって1年が経過しました。院内のさまざまな行事に参加して思ったことは、四季の移り変わりを感じさせる行事が多いということです。四季を大切にする考えは、とかくスピードにおわれ、モノクロの世界に生きているかのような毎日に、気持ちの“ゆとり”と“彩り”を与えてくれます。そして、その“ゆとり”と“彩り”が、患者さまの思いに寄り添った心のこもった対応に、大きく結びついていると思うのです。

「行事のなかにも四季を感ずる」当院は気持ちの安らぐ、あたたかい雰囲気を持った病院です。

さあ、今日も患者さまのために頑張ろう。

        薬剤科 科長 寺師