当院は、患者様に安心して透析治療を受けて頂くために、血管アクセス治療、腹膜アクセス治療のほぼ全てを、他院に紹介することなく院内で対応できる体制を整えております。
血液透析及び腹膜透析(CAPD)のいずれもシャント手術やカテーテル挿入術などの手術なくしては、患者様に透析治療を導入することは出来ません。
透析治療のためには、上肢の血流量を増やす必要があり、手術によって動脈と静脈をつなぎ合わせ動脈の血液が直接静脈に流れるようにします。その吻合部を透析シャント(シャントとは短絡路・近道の意味です)といいます。
透析で利用するシャントは非生理的なものであり、一度作製しても徐々に静脈内に狭窄が発生し血液量が低下したり、時に完全に閉塞したりするトラブルが認められます。
そのため、定期的な検査と治療介入を続けていく必要があり、代表的な治療が経皮的血管形成術(PTA)です。これは血管内の狭窄部に対して風船で膨らませ、内腔を拡張させることで、今のシャントを永くもたせうる治療です。それにより血液の流れをよくし、透析が行えるようになります。
当院では年間350件近くのPTAの実績があり、繰り返しの治療が必要な患者様や職員のX線透視下による被爆の問題を回避するため、超音波を全例用いた治療を実施し、被爆の低減に努めています。
下表は2021年度の「シャント関連」、「PTA」、「CAPD関連」の手術実績です。
<年間手術件数>
シャント関連 | PTA | 腹膜透析(CAPD)関連 | その他 | |||||
内シャント 造設術 |
人工血管 シャント |
血栓除去 | その他 | カテーテル 挿入 |
カテーテル 抜去 |
その他 | ||
30 | 25 | 2 | 5 | 344 | 5 | 6 | 1 | 2 |
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静脈を動脈に縫い合わせてつなぐことにより、動脈血を直接静脈に流すことをいいます。
自己血管が細い等、十分なシャントの作製が難しい場合は人工血管を移植してシャントを造設します。
血管の狭くなった部位へ、バルーンカテーテルと呼ばれる風船の付いた細いチューブを誘導し、風船を膨らますことで狭くなった部位を内側から拡張する治療です。