新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」になった直後、現在放映中の朝ドラ『らんまん』の主人公モデルとなった植物学者・牧野富太郎博士の功績を広く伝えるために1958年に開設された牧野植物園に行って参りました。
植物園建設計画の際、博士が「植物園を造るなら五台山がいい」と言ったことから、四国霊場第三十一番札所「五台山 竹林寺(ちくりんじ)」より土地を譲り受けて造られたそうで、園内順路途中にお遍路道もありました。
約8haの園内では、西南日本の植物や博士ゆかりの植物など、四季折々3000種類以上が楽しめます。
珍しい熱帯植物があるジャングルさながらの温室も圧巻でしたが、山野の自然の中にいるような錯覚が感じられる植物園でした。
園内入口に博士の業績や魅力を紹介した展示ブースがあるのですが、私はここで博士の人柄に引き込まれてしまいました。
「植物が好き」というシンプルながらも熱い気持ちを持ち続け、北海道から鹿児島まで日本中の野山を歩きまわって調査し、次々と新しい種を発見、94年の生涯で1500種類以上の植物に学名を与えたそうです。
「植物が好き」であることをとことん極める博士は、相手によって態度を変えることがなく、誰に対しても分け隔てのない人だったそうです。
小さいころから植物観察が大好きだった小山さんは、11歳のときに憧れていた博士に手紙を出すと、返事が返ってきたそうです。
博士は70歳以上歳の離れた小山さんにいつも真剣なまなざしで向き合い、博士の弟子となった小山さんは、植物研究の道へ進み、その後世界でも知られる学者になったそうです。
全国各地を飛び回るための移動費や高額な資料代など、研究にはたくさんのお金が必要でした。
牧野博士は研究のための投資をいとわず、借金を重ねていましたが…、不思議なことに、「もはやこれまで…」というときにはいつも助けてくれる人が現れたといいます。
「好き」なことを極める姿勢、それ以外を過ぎ落とした生き方だからこそ、「縁を紡ぐ」ことが出来たのではないかと思います。
今回、植物園に行く機会(縁)を与えてくれた友人にも感謝したいと思います。
経営管理室 係長 石窪